2階に水回り設備を増設

海外で暮らしていたご友人・Y様のご帰国に合わせ、4LDKの戸建住宅をシェアすることにしたお二人。1階をM様、2階をY様の住まいとする二世帯にリフォームされました。

それぞれの生活空間を独立させるため、2階にミニキッチン、シャワールーム、洗面台、洗濯機置き場の増設を検討されました。まずは、2階にある3室のうち最も広い部屋の一角にミニキッチンの設置を決められました。

「問題はシャワールームと洗面台、洗濯機置き場をどうするかでした。それなりにスペースが必要ですし、だからといって、もう一部屋を水回り用に改装するわけにもいきませんでした。その時、吹き抜けのスペースを利用すれば２階の床面積を広げられるのでは、とひらめいたのです」とM様。当社で建物の構造を確認したところ、ご希望通りの改築が可能であると分かり、二世帯住宅へのリフォームプランが現実のものとなりました。

吹き抜け部を増床し、シャワールームと洗面台、洗濯機置き場を設置されました。

クローゼット横のスペースを利用しミニキッチンを設置されました。

内壁の増設と移動、玄関の増設で2世帯に完全分離

1階と2階をそれぞれ独立した生活空間とするため、既存の玄関から1階へ入れないようにリビングのドアを塞ぎ、2階へ続く動線に。そのため、1階への出入り口は駐車スペース横に、勝手口サイズの小さな玄関と階段を新たに設けられました。

1階の和室は洋室へと改装し、寝室として使用されています。もともとリビングと和室の間にあった仕切り壁を撤去し、リビング側に少し寄せて新たな壁を設置されました。これにより、寝室の広さは6帖から約6.7帖（約2.5㎡分）へと拡張され、クローゼットの収納スペースも広くなりました。また、新たに設けた仕切り壁にはあえてドアを付けず、寝室への出入口は壁の横側に配置されています。「引き戸を付けることも考えましたが、寝室として使うならリビングとは完全に分離したいと思いました」とM様。寝室側には壁掛けテレビを設置し、スペースを有効活用されています。

一方のリビング側は、壁一面にワインレッドのアクセントクロスを張り、大きな絵画を飾って印象的な仕上がりに。別の壁にも額装された絵画が飾られ、さらに室内用の観葉植物の緑も加わることで、洗練されたモダンな空間に仕上がっています。

リビングから駐車スペースに出られる勝手口サイズの玄関を設置されました。

寝室は、障子枠を撤去して白のブラインドにされました。

ワインレッドの壁が印象的なリビングになりました。

1階寝室と２階洋室をつなぐ可動式はしご

2階にある3室のうち、1室はM様の部屋として使われています。しかし、2階へは一旦外に出て既存の玄関を通らないと上がれない構造にされたため、Y様の生活空間を通過せずに入れる動線が必要でした。そこで、1階寝室の天井の一部をくり抜き、可動式のはしごを設置して2階へ直接行けるようにする斬新なアイデアを採用されました。「当初は螺旋階段も検討しましたが、設置にはかなりのスペースが必要で部屋が狭くなるため断念しました。はしごにしたことで、まるで『トム・ソーヤの冒険』に出てくるツリーハウスのようで、とても気に入っています」とM様。空間の制約を逆手に取った工夫により日常の中にちょっとした遊び心を添えています。

天井部にある梯子を下ろすことで２階の部屋に上ることができます。